Q 股関節鏡の手術をするとどれくらいの傷が残りますか?
A 股関節鏡のカメラは直径4mmであり、1cm未満の手術の傷が2か所のこります。当院では、傷は表の皮膚を縫わずに内面だけ縫うため抜糸(ばっし)の処置は必要ありません。

 

Q 股関節鏡の手術時間はどれくらいですか?
A 股関節の中の治療方法によって時間は変わりますが、関節内のデブリドマン(掃除)や遊離体摘出などの単純な手術であれば1時間以内、股関節唇の縫合などの複雑な手術では2時間以内が目安です。

 

Q 股関節鏡の手術は特殊な手術であるため、他の病院では行っていないと言われました。股関節鏡手術は整形外科の医師にとって難しい特殊な手術なのですか?
A 膝や肩などの関節鏡とは違い、股関節鏡は股関節内の狭い空間を広く見るために70°斜視鏡という特殊なカメラを使用します。そのカメラにて視野を確保し、関節唇の縫合などを行うには比較的高度な手術の技量が必要とされます。当院では股関節外科医のグループと関節鏡を専門とするグループが協力して手術を行い、安全かつ確実な手術を施行しています。当院では股関節鏡の手術は海外などでその十分な経験を積んだ整形外科専門医が担当して行っています。

 

Q 股関節鏡の手術ではどれくらいの入院期間が必要ですか?
A 単純な処置であれば3日~1週間の入院で十分ですが、股関節唇の縫合などを施行した場合は手術直後のリハビリテーションがとても重要であり、2週間の入院をお勧めしています。

 

Q 手術は全身麻酔ですか?下半身麻酔ですか?
A 下肢を引っ張りながら手術を行いますので、基本的に全身麻酔で行います。

 

Q 手術後はどれくらいで車いすや松葉杖で移動できるようになりますか?
A 基本的に手術当日から車いすや松葉杖での移動ができます。全身麻酔の影響を考慮して、手術当日の移動はスタッフによる見守りのもと行います。

 

Q 手術後はどれくらいで食事ができるようになりますか?
A 全身麻酔によっておなかの動きが弱くなるため、おなかがよく動いていることを確認し手術が終わってから5時間程度で飲食が可能となりますが、手術当日は点滴を併用して全身状態の管理を行います。

 

Q 手術後どれくらいで歩けますか?また、いつごろ社会復帰が可能ですか?
A 手術翌日より松葉杖での歩行が可能です。股関節唇のデブリドマン(掃除)を行った場合には1本の杖での退院、関節唇の縫合を行った場合には2本の杖での退院となることが多くなっています。移動が可能であるため、デスクワークが中心であれば退院後、早期の社会復帰も十分可能です。

 

Q 手術のあとのリハビリテーションはどのくらい必要ですか?
A 股関節鏡の手術後のリハビリテーションは手術と同じくらい重要であると考えています。当院では2週間の院内でのリハビリテーションを行った後の、外来での週2回程度の継続したリハビリテーションが基本です。来院しない日は「セルフリハビリテーション」が必要なため、入院期間中に指導を行い、退院後に自宅にてもリハビリテーションを行います。

 

Q 股関節鏡の手術のあと、どれくらいの期間でスポーツに復帰できますか?また、実際にスポーツに復帰できない人もいますか?
A 疾患、手術の内容、競技種目、競技レベルなどによって異なりますが、Femoroacetabular impingementに関する自分たちのデータでは、股関節唇の縫合を行った場合は平均4.6か月、股関節唇のデブリドマン(掃除)を行った場合には5.6か月にてスポーツ復帰をしています。スポーツへの復帰率は平均で94%程度となっており、海外での報告とほぼ同様の復帰率となっています。

 

Q 手術には予約が必要ですか?待ち時間はどれくらいですか?
A 手術はすべて予約制となっています。股関節鏡手術を希望する患者さんが増えていることもあり、手術までの待機期間が長くなることがあります。股関節鏡手術を希望するかたは早めに整形外科外来までお越しください。夏休みや春休みには学生の手術が多いため、混雑が予想されます。詳しくはメールにてお問い合わせください。

 

Q 他の病院でレントゲンなどの検査を行いました。検査は再度必要ですか?
A 必要な検査については患者さんと相談し追加して行います。特に「股関節唇の損傷」が疑われる場合には、股関節唇損傷の程度や軟骨損傷の合併を評価するために関節造影検査とそれに続くMRIの検査を行うことをお勧めしています。検査施行日を決定し、検査日当日にその結果についてお話し、治療方針を決定します。