脊椎班だより 運動器疼痛学会

 

運動器疼痛学会が、12月1日、2日に滋賀県琵琶湖ホールで行われました。東京医大からは、大学院生の前川が膝滑膜を用いた慢性疼痛に関連する基礎研究に関連して、日下部が、脊髄係留症候群に対する硬膜外刺激電気療法の効果について発表しました。最新知見の学会発表は、不動性疼痛といって、動かないこと自体が新たな疼痛を発生させること、非不動部位の運動がそれらを軽減させる可能性があること(動物は、動かないこと自体を疼痛アラームとして感受する機能があり、不動化が疼痛の原因となること、運動が疼痛を改善させる可能性について示されている)、脳の運動野に対する電気刺激によって下降性抑制系、または脳内オピオイドの活性によって疼痛が改善する可能性があること、NSAIDsによる炎症抑制が総省治癒の遅延に影響をあたえること、静脈を神経に巻くvein wrappingによる疼痛改善効果、心身二元論からの脱却、など大変興味ある研究や新しい考え方が発表されました。整形外科は、痛みに対する治療が大部分を占めます。脊椎外科の学会では外科的治療について多く語られますが、痛みの原理そのものについて研究することは、外科的治療の効果を高めるためにも大変重要です。

脊椎班活動参照

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