当科での内視鏡手術は、ヘルニアのみならず、変性すべりなどの脊柱管狭窄症を伴っている場合にも行っております。
腰部脊柱管狭窄症による内視鏡下除圧術は、神経の圧迫症状が強い場合に行われます。従来は、背中側から入って椎弓の一部を削る方法が最もよく行われていました。手術後2~3日目から歩行開始し、入院期間は2~3週間程度でしたが、最近では小さな傷で手術を行う低侵襲手術が普及してきています。内視鏡下除圧術の傷は、2cm弱と小さく、手術後の痛みが少ないのが特長です。手術翌日から歩行でき、早期(術後4日程度)に退院が可能です。
腰部脊柱管狭窄症は腰痛、下肢痛や下肢しびれ、および歩行継続が困難になる疾患で、近年の高齢者の増加に伴って最近患者数が急増しています。投薬や各種ブロックなどの保存的加療で軽快する場合が多いが、手術が必要となる場合もあり、一般的には圧迫された神経の後方の椎弓を切除する手術が選択され、すべりや不安定性を伴う場合には固定術が選択されることも多く、手術の侵襲は小さくありません。内視鏡下除圧術は一か所につき、約2cmの皮膚切開で椎弓を切除することが可能であり、切除範囲が必要最小限になるため、術後の不安定性が起こりにくく、固定術が不要となる事が多く、術後の社会復帰や回復が早くなることも期待され、良好な術後長期成績も報告されてきています。
今回、それらの内視鏡手術の80%のフォローアップ率で10年後の経過について論文化されました。より良い結果を求めて手術の適応について述べております。

Aihara, T., Endo, K., Suzuki, H., Kojima, A., Sawaji, Y., Urushibara, M., … & Yamamoto, K. (2021). Long-Term Outcomes Following Lumbar Microendoscopic Decompression for Lumbar Spinal Stenosis with and without Degenerative Spondylolisthesis: Minimum 10-Year Follow-Up. World Neurosurgery, 146, e1219-e1225

Aihara, T., Endo, K., Sawaji, Y., Suzuki, H., Urushibara, M., Kojima, A., … & Yamamoto, K. (2020). Five-year reoperation rates and causes for reoperations following lumbar microendoscopic discectomy and decompression. Spine, 45(1), 71-77.