関節グループの関健です。
2025年1月25日に獨協医科大学で行われた関東股関節鏡研究会に参加させて頂きましたので報告をいたします。
これまでの同研究会は講演会の他に症例相談などが行われていましたが、今回は初めてCadaverセミナー(ご遺体を用いた手術手技研修会)が開催されました。
医学部の解剖実習やCadaverで使用する献体は、生前に登録いただいた方が御臨終後に提供されます。本人だけではなくご家族も献体に同意いただいており、多くの方の御理解、御協力で成り立っています。地域によっては献体が十分に集まらなかったり、献体を保存する施設が小さかったりなどの問題で献体の確保に苦労している地域もあると伺いました。最近では、Cadavarトレーニングに関するSNSでの炎上トラブルなどの影響もあり、献体の新規登録者数は減っているとのことです。
そのような状況の中で施設を提供して頂いた獨協医科大学解剖学講座の先生方、運営、指導を行って頂いた関東股関節鏡研究会世話人の先生方、誠にありがとうございました。ちなみに、過去のCadaverでも撮影機器の持ち込みは禁止されている会にしか出席したことがありませんでしたが、今回は車の中に携帯電話はおいて参加するように指示されており、会場外での写真もなく、文章のみでの報告になります。
今回使用した献体は、新鮮凍結遺体であり、ホルマリン献体と比較しかなり生体に近い条件でトレーニングを行いました。
股関節唇の修復や骨形態異常に対する処置、それらを自身よりも経験豊富なインストラクターの先生方にご指導いただきながら経験を積むことができました。処置中に手を止めて意見交換を行い、股関節鏡手術後に侵襲の程度を直接切開して確認するなど、通常の手術では決して行うことができない方法で経験を積むことができます。また、向上心の高い外部の先生方との情報交換も行うことができました。
個人的には、1件の手術よりも非常に大きな経験だと思います。献体していただいた方々の思いを無駄にしないために、直近の股関節鏡手術予定の患者様の満足度向上につなげていきたいと思います。