渡米後初めて手洗いをしてオペに参加した時に術者が何やら“ボビー, ボビー”と言っている。てっきり隣のボビー・オロゴン似のSurgical Technologistを呼んでいるのかと思ったが、一向に返事しない。誰か返事してくれ、無視はマズイ、術者の機嫌が…、など内心焦っていたが、少しの沈黙の中、ある聞き慣れた音がする、この音は世界共通だ。そう、電メスだ!
ただ電メスとボビーがどうしても結び付かなかったため、術後オペ看に聞いてみるも、“ボビー is ボビー”とややキレ気味な反応。仕方なく自分で調べてみると1926年、米国の工学博士William T. Bovieが電気メスを開発し、これを利用して、米国の脳外科医Harvey Cushingが同年、世界で初めて電気メスによる外科手術を行ったらしい。開発者にちなんでボビーなんですね。このように日本とアメリカでは手術器具の呼び方が違い最初は戸惑いましたが、だんだんと慣れてきました。
ちなみに術中よく耳にした器具の呼び方は
- Knife (ナイフ):メス
- Pick up (ピックアップ):鑷子
- Curette (キュレット):鋭ヒ
- Kocher (コッカー):コッヘル
- Hibbs (ヒッブス):筋鈎
- Rongeur (ロンジュール):骨リュエル
- Scissors (シザース):クーパー
- Bone chisel (チーゼル):骨ノミ
個人的には、ロンジュールの発音がフランス語みたいで気に入って、よく意味なく使っています。。
石田常仁
Stryker社より抜粋 You are “Bovie!!”