2013年入局で現在、スポーツ・関節鏡グループに所属する関 健です。今回、脊椎班の小西先生からバトンを引き継ぎ、今年度のスポーツ班の活動について報告をさせていただきます。

 

私は2011年に東京医科大学を卒業し、東京医科大学茨城医療センターで初期臨床研修を行いました。初期臨床研修では様々な科をローテーションし、整形外科以外にも興味を持った科はありましたが、医師を目指したころから、病気よりも「怪我をみたい」という想いがあり、その想いが途切れることはなく、整形外科医になることを決めました。また、自身が育った母校への思い入れもあり、東京医科大学整形外科へ入局させていただきました。

 

私が所属するスポーツ関節鏡グループでは、平日は病院での通常診療を行っておりますが、週末になると病院を離れ、チームドクターとして現場に帯同をしております。チームドクターの活動については以前、同じスポーツ班の田村先生より紹介をしていただきました。

 

今年は、東京オリンピックが開催されるため、サッカーJリーグや、プロ野球のペナントレースは中断となっております。私もこの時期はチームドクターとしての仕事がありませんでしたが、東京オリンピックの会場でスポーツドクターとして活動を行いました。

 

東京医科大学整形外科 スポーツグループは、埼玉スタジアム2002、及び東京スタジアムで行われた男女サッカーの選手メディカルサポートの機会を頂き、私は埼玉スタジアム2002で担架隊のリーダーを担当させて頂きました。担架隊としての仕事は、怪我をした選手をピッチの外へ移動するという仕事がメインとなりますが、アスリートが不測の事態に陥った場合は、メディカルスタッフとボランティアがチームとして動き、救護活動を行うことがあります。非常にまれな事象ではありますが、今年ヨーロッパで行われたサッカーの大会、UEFA欧州選手権2020では、デンマーク代表のクリスティアン・エリクセン選手が試合中に倒れ心肺停止となりました。この時はチームドクターやトレーナーの迅速な対応により、エリクセン選手は救命されましたが、このような出来事はいつ発生するか全く予測することができません。私たちスポーツドクターは、まれなことであっても発生しうるトラブルを想定し、心停止が発生しても想定内の事象として動けるように十分な準備をしておくことが必要です。一緒に働いた仲間は、埼玉県内の理学療法士さんでしたが、医師に限らず、メディカルスタッフは全員10時間近くに及ぶe-learningを受講し、サポートに備えてきました。試合の前に救急初期対応の確認を行い、スムーズに活動ができるように準備を行いました。十分に準備をしていたことが幸いしたのか、私が担当した3試合では怪我人はなく、ピッチに入る機会は一度もありませんでした。しかし、さまざまな準備をしつつも選手に怪我や不測の事態が発生しないことが一番いいことです。今回、世界基準のメディカルサポートを肌で感じることができ、非常に貴重な経験となりました。

 

コロナ禍で大好きなスポーツを行う機会を失った方がたくさんいます。しかし、スポーツで生活をしているプロ選手、健康のために体を動かしている方々、部活動を行っている学生さん、感染対策を行いながら一所懸命スポーツを行っているみなさんのために、今後も力となれるサポートを行っていきたいと思います。

写真:東京スタジアムでのメディカルサポート

写真:埼玉スタジアム2002でのメディカルサポートチーム

写真:オリンピック試合前の活動風景