私は、20191020日から24日にかけて上高地診療所に出張に行かせていただきました。

前週に日本列島を襲った台風19号の爪痕が残り新幹線が運休となる中で、迂回ルートを用いて目指したため、上高地に辿り着いただけでもある種の達成感を抱いておりました。

 上高地は東京に比べて遥かに肌寒く感じられましたが、空気が澄んでおりとても清々しい気持ちになれました。紅葉も始まり、視界に連なる壮大な山々がより一層美しくそびえ立っておりました。

 診療所に着きほっと一息ついたのも束の間、早速患者様がいらっしゃいました。聞けば、上高地の一大観光名所である河童橋にて記念撮影中に蜂に刺されたとのことでありました。

 結局、私が滞在した4日間で蜂刺されの診察をしない日はありませんでした。その他の症例では、転倒して額に挫創を負った方の縫合をしたり、頭部外傷の方を救急車を呼んで山の下の病院に転院搬送したり、橈骨遠位端骨折疑いの方を可及的に固定し下山、受診を指示したりなどを経験しました。レントゲン等の画像検査すらできない限られた環境の中で、いかに考え判断し、処置を施すかが求められる上高地診療所での経験は非常に有意義なものとなりました。

 空いた時間で上高地の自然や温泉を存分に満喫し、診療所のお母さんが作る食事をいただき、お父さんのご趣味であるギターを聴きながらお話をする。そんなゆったりした生活は、普段の都会の慌ただしさで疲れた心身を癒してくれました。

 4日間という短い間でしたが、私にとってとても意味のある、濃い日々となりました。

これからもより一層精進し、医師として大きく成長した上で、再び上高地診療所に戻って来られることを願っております。