乳幼児期の先天性内反足や先天性股関節脱臼から始まり、高齢者の変形性脊椎症、変形性膝関節症、骨粗鬆症にいたるまで、整形外科ではすべての年齢層にわたる疾患を対象としています。さらに対象は頚部から足指にいたるまでの全身にわたります。しかもスポーツ外傷,交通外傷をはじめとした外傷学から、変形性関節症、骨頭壊死、靱帯損傷をはじめとした関節外科学、さらに椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症をはじめとした脊椎外科学、そして骨肉腫、軟骨肉腫をはじめとした腫瘍学に至るまで、非常に幅広い領域の疾患を対象としています。
数ある診療科の中でこのように幅広い領域の疾患群の診療が可能である科は他にありません。これらを後期研修の期間内に大学病院ならびに関連施設において、ひとりで診療あたることができるように最低限の知識と技術を身につけてもらい、専門医が取得できるようにシステマティックな教育を目指しています。しかし最終的にはこのレベルにとどまらず、これら多くの整形外科領域の中から自分の関心の高い疾患群に特化して大学院をはじめとして様々なリサーチにも取り組み、その領域では右に出る者がいないと言われるまでのエキスパート整形外科医を育成しています。
残念ながら近年、若手医師の一部には大学での研究、教育を敬遠し、また大学院離れも著しく、余計な苦労はせずに最小限の努力で目先の専門医だけを目指す、そしてリスクの高い外科系は極力避けるという安易な傾向があります。 しかしそのような状況下にあっても、当科では臨床面においては手術成績は確実に向上し、手術件数は上昇の一途をたどり、また研究面に関しても、大学院生たちを中心に現在国内外の研究施設で着実に国際的な多くの研究成果を上げております。
一般病院での生活と比べて、そのactivityの高さのためハードな面が強調されがちな大学病院ですが、やはり最高学府での診療、医学研究、医学教育を実践し、真の意味でのエリート医師となり、世界の医療の波頭をいく志を、若い皆さんとともに持ち続けたいと考えております。